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パパに聞く
第6回 金子貴俊さん 俳優 テレビや映画、舞台とマルチに活躍する金子貴俊さん。妊娠中の奥さんとの生活をいかに楽しくできるかを考え、自ら実践したことを克明につづった著書『パパニティ 僕と奥ちゃんの10カ月』は、金子さんの奥さんへの優しさと愛情に満ちあふれています。08年12月に長男・颯良(そうら)クンを授かり、いまパパとしての生活がスタートしています。「僕はけっして理想のパパじゃない」という金子さんですが、世のパパさんたち、その言葉の一つ一つをしっかり受け止めてみてください。

撮影/坂井信彦 スタイリング/FUNA

「人を幸せにしたい」と心から思えること。

颯良ちゃんが生まれて、僕と奥ちゃん(※)との3人の生活になりましたが、毎日が本当に楽しいです。心が充実するというか、いろいろな意味で生活が豊かになりましたね。俳優を目指し始めたころは、まだそんなにお金がなくて、車があったらいいなとかおいしいものを食べたいなとか、物質的なことにこだわっていましたが、子どもが生まれてからは、豊かであるというのはそういうことじゃないと、あらためて感じます。

子どもが初めてのものを見て喜ぶ姿とか、いろいろ経験することで成長していくことの素晴らしさとか、子どもを通じて再発見させられることはとても多いですね。僕の仕事もいろいろな環境に身を置いてそのつど学んだり発見できたりするわけで、それは心が豊かになれることなんだなと感じられるようになって、仕事に対してもさらに楽しさが増したんです。これは僕にとってすごくいいプレゼントでしたね。

いままでは、自分が幸せになりたいとばかり思っていたのが、結婚して子どもが生まれてからは、「人を幸せにしたい」という気持ちが心の底から湧いてくるようになりました。そして、人を幸せにしたいと思っていると、いつの間にか自分も幸せになれると。自分が幸せになりたいと思っている時って、実は幸せじゃない時かも知れません。でも、人を幸せにしたいと思っている時は、すごく幸せなんだと気づいたんですね。

子どもがいると、自分の自由な時間が制限されてしまうものですが、じゃあ自分の好きなことを自由にすることが幸せかというと、あとで罪悪感を感じてしまったり、空しくなってしまったりすることもあります。子どもがいると、いろいろな視点や新しい角度から物事を見ることができるようになるので、これまでとは違った充実感が得られるんです。なんだか自分が生まれ変わった感じすらしますね。

たとえばテレビも見る番組が変わったり、見方が変わったり・・ちょっとでも子どもの情報が入っている番組はよく見るようになりました。逆にちょっとでもグロテスクなものや下ネタなどは「この時間にこの内容は良くないんじゃないか!」と思ってチャンネルを変えたり(笑)。楽しみ方が変わってきたなあと思います。

(※)金子さんは奥さんのことを、愛情を込めて“奥ちゃん”と呼びます。

奥さんのことをきちんと見てあげることが大切。

奥ちゃんを大切にすることが、子どもを大切にすることと直接つながっていると思うんです。だから僕はいまも、奥ちゃんが一番なんです。奥ちゃんあっての子どもですからね。僕が仕事に行っているとき、一人で子どもを見てくれているわけですから、本当に大変だと思うんです。その分、奥ちゃんの身体や心を元気にしてあげることが、 僕ができる子育ての一つなんじゃないかなって思うんです。妊娠中もそうでしたが、奥ちゃんが楽しくなってくれるようなことをいつも考えています。

たとえば奥ちゃんがイライラしていると、子どもにもそれが伝わってしまうと思うから、そういうときは僕が洗い物をしてあげたりごはんを作ったり、なるべく変化に気づいてあげられるような自分でいたいなと思います。

家族だからこそ、家族が喜ぶことを知る努力をすることが必要ではないかと思います。助け合い、絆を深めていくのが家族なんじゃないかなと。でも、完璧な夫や父親になろうとしたら、自分を苦しめてしまうかもしれないので、抜くところは抜きつつ、肩に力を入れずに、バランスを考えてやっていければいいなと思います。

夫婦といっても、もともと違う環境で育って、違う価値観を持った他人同士なわけですから、普通に考えても、長続きすることのほうが奇跡だと思うんです。そして、奇跡を起こすには努力が必要なんだと思います。ただ、ずっと努力し続けるのも辛いので、たまには息抜きをすることも大切です。お互いに思いやりを持つことで、余裕も生まれてくると思います。

子どもとお母さんとの関係って、お父さんとのそれとは違ってすごい結びつきがあると思うんです。母性の強さにはなかなかかなわない。だから僕は常にフォローというか、積極的にサポートして、それが子どもに両親の愛情として伝わっていけばいいなと。お母さんのことを大切にしているお父さんっていうのは、子どもは嫌いじゃないと思うし、きっと素敵に見えるんじゃないかな。

子育て中の奥ちゃんは、母親であることを満喫しているように見えます。僕にとっては「恋人」ですけど、いまは母親モードですよ。でもいまはそういう時期だし、僕もお父さんを楽しみながら、結婚記念日とかタイミングを見て、恋人に戻る瞬間を作るようにしています。

子育ては「文化」だととらえたい。

『パパニティ』という本を書いたことで、たまに「理想のお父さんですね」なんて言われたりします。すごくうれしいんですけど、僕は理想じゃなくて普通だと思うんですね。「理想はあるけど、現実には難しいよね」って、ちょっと諦めちゃってるお父さんもいると思うんですけど、全体的に子育てのイメージが変わってくれればいいなと思っています。

颯良ちゃんはまだ生後6カ月ですけど、家で一緒にいるときは絵本を読んであげたり、歌を歌ったり、いまは祭りの練習をしたりしています。僕は小さいころから地元の祭りの御輿を担いでいて、地域の人たちにかわいがっていただいたので、寂しい思いをしなかったんです。自分の子どもにもそういう環境を作ってあげたいと思って、いまは僕が肩車して御輿に乗せる練習をしています。そしていつか一緒に担ぎたいなと思っているんです。

金子貴俊著 『パパニティ 僕と奥ちゃんの10カ月』 宝島社刊

金子貴俊著
『パパニティ 僕と奥ちゃんの10カ月』 宝島社刊

地域のコミュニティがなくなったとよく耳にしますが、自分が積極的に求めて参加していけば、残っているところにはちゃんとあるものなんです。祭りのように地域の方とふれあい、みんなと協力して楽しむということを、子どもに知ってもらいたいなと思います。

子育てって、一つの文化のような気がします。親は子に大切なことをきちんと伝えていかなきゃいけない。そして、子どもに対する気持ちや接し方とか、ずっと受け継いでいくものではないかなと。いま、社会がなんとなく暗い感じですけど、幸せな家族が一つでも増えれば、社会全体も明るくなっていくはずだと信じています。

一番大切なのは、目の前の子どもと「向き合う」ことだと思います。自分も人の親になったことをちゃんと受け止めて、できると思ったことを一所懸命する。僕はどちらかというと言葉ではなく、行動で見せてあげられる父親でありたいです。

【インタビュー日:2009年6月8日】


プロフィール

かねこ・たかとし

1978年東京都生まれ。2001年映画「ウォーターボーイズ」で一躍注目され、映画やテレビドラマ、バラエティ、舞台などマルチに活躍中。多趣味でも知られ、特に絵画はアート展を開催するほどの腕前。またカメラも“写心家”と称して写真集を出版している。08年6月に結婚し、同年12月に長男・颯良(そうら)クンを授かる。奥さんの妊娠から出産までの歩みを綴った著書『パパニティ 僕と奥ちゃんの10カ月』が好評を博している。

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