1. ホーム
  2. パパに聞く
  3. 第5回 パパイヤ鈴木さん ダンサー/振付師・タレント・俳優
パパに聞く
第5回 パパイヤ鈴木さん ダンサー/振付師・タレント・俳優 「おやじダンサーズ」のリーダーとして、ダンサーや振付師としては言うにおよばず、舞台やテレビバラエティ出演などマルチな活動で知られるパパイヤ鈴木さん。特に今年のNHK大河ドラマ『天地人』では、上杉景勝の家臣・甘糟景継役を好演し、初めての時代劇出演とは思えない存在感を見せています。
ドラマ収録のかたわら、ミュージカル『ニュー・ブレイン』(3月11日-4月29日、日比谷シアタークリエ)出演と大忙しのパパイヤさんですが、今回は舞台稽古の合間をぬって、お話を聞きました。1男1女の熱血パパぶりは、いくつもの含蓄ある言葉が物語っています。

撮影/坂井 信彦

僕はだんだん「お父さん」になっていった。

ウチの子どもは、長女が7歳で長男が5歳。初めて長女が生まれた時、僕は父親として何をしたらいいか分かりませんでした。最初は「家の外のことは僕がするから、中のことは嫁さんがやって」という、よくあるパターンだったわけです。ただ、長女を通わせた幼稚園がとてもユニークなところで、いろいろな行事に参加しているうちに、父親としての自覚に目ざめたといいますか、ずいぶん意識が変わっていきました。

女の子だったらハイジ、男の子だったらターザンにしたいっていう希望がずっとありまして(笑)、そんな自然児を育てるのにいい学校がないかなと探していたら、幼稚園から大学まである某学園を見つけました。いま2人とも通っていますが、ハマリすぎてとてもやんちゃな子になりました。

何がユニークかって、幼稚園のうちから工作でのこぎりとか金づちを使わせるんですよ。もちろんケガもしますけれど、痛みを知って覚えるという教育方針なんですね。小学校は教室の廊下側の壁もなければ、教科書も使わない。また、親が行事に参加する機会も多くて、お母さんだけでなく、お父さんが企画するイベントとか運動会もあって、お父さん同士が自然とお友だちみたいになるわけです。みな最初は慣れない感じなんですが、だんだんと変わってくるんです。

僕も行事に参加しているうちに、お母さんたちと一緒にバザーをやったり、何か作ったりとか・・子どもに良かれと思って選んだ学校でしたが、僕にとっても良かったと思っています。

ウチの嫁さんは、子育てについて「お父さんがもっと参加しなくちゃ」と、僕にはっきり言いました。そう思っていても言えないお母さんもいるんじゃないですかね。「外で働いているのに悪いわ」と思っている人は結構多いでしょう。ウチは普段から、わりと夫婦のコミュニケーションが取れていますし、9歳も年が離れているせいか、逆に言えちゃうパターンなのかも知れません(笑)。でも「もっともっと参加してほしい」という空気は感じますけどね。バリバリ仕事で頑張ってくれるのも嬉しいけど、みたいな。

不満があっても文句は言わないで、上手にお願いしてくるんですよ。男って、文句は聞かないけれど、お願いされると聞いちゃうじゃないですか。だからけっして喧嘩にはならない。これが嫁さんのズルいところでもあり(笑)、偉いところですね。

家族だけで通用する言葉を持てるといい。

基本的に僕は叱り役で、嫁さんは説明役です。たとえば子どもが悪さをすると、僕は強烈に叱ります。僕は食事をしているときにふざけるのがすごく嫌いで、もし食べ物で遊んだりすると、お尻をパーン!と叩きます。けっして傷を付けてはいけないけれど、してはいけないことを痛みとして覚えさせるのはありだと思っているので、ギリギリのところでカミナリを落とすんです。二人はそれを知っているから、僕が立ち上がるとスッとやめる。「あ、怒ってる」って、体が反応するんですね。

一方で、嫁さんは「なんでこういうことしちゃいけないと思う?」って、そのつど子供たちに聞いて、考えさせる。同じことをしたらまた考えさせる。その繰り返しです。

叱るっていうのは、テクニックが必要です。言い方が上手い親だと、子どもは本当に納得するんですよ。そういう親になりたい、ならなきゃいけないなとは思っています。親というのは、知らず知らずのうちに「否定する言葉」をいっぱい使っちゃうんです。「ダメだ」「止めなさい」・・なるべく言わないようにしたいけれど、ブレーキを掛けることが必要だからと、ついつい使ってしまう。

言葉って大事なんですよ。たとえば、子どもが学校に行くときに「行ってきまーす」と言ったら、普通は「気をつけてね」って言いますけれど、何かもっといい言い方はないかなって思うんです。いつもそう思うんですけれど、いまだに見つからない(笑)。他の人が言わないようなことを言いたいんですけどね。その家の言葉、家族でしか通用しない言葉、それは気持ちの表現だと思うんです。共通の気持ちを持つことが重要ですからね。それは端的に言うと、愛なんですよ。

以前、僕がインフルエンザで寝込んでいたとき、僕の寝ている部屋の向こうから子どもたちが「お大事に」と言ったんです。その時にふと思いました。アイツらが病院に行ったときに、看護婦さんから言われて気持ちが良かったんだろうな、それを僕にも言ったら喜ばれるだろうと思ったんだなと。それで僕は即座に「ありがとう!」と返しました。こういう時って、なんか心が通じ合ったなぁと思えるんですね。

育児は「育自」。子どもがいることで自分も成長できる。

2人の子どもには、想像力豊かな人になってほしいと思っているんです。これをしたらどういう風になるか、相手は嫌がるだろうな、だからやっちゃいけないんだ・・という相手の立場を考えることから始まって、答えは決して1つじゃないということを知って欲しいんです。この色は青だけれど、もっと違う青もあるだろうとか・・それは創造力にもつながるんですよ。

僕がいるエンターテインメントの世界は、正解がない世界なんです。常に自分のやっていることを疑ってかからないと、次がない。たとえば舞台の演出家に「(そのダンスの)振りを変えてくれ」って言われたら、変えなきゃいけないんです。そこで「何で変えなくちゃいけないんだよ」とヘソを曲げて、自分を閉じてしまったら終わりなんです。常に自分は初めて舞台に立っているというつもりでやらないといけない。プロの仕事というのは妥協がないですから、どんなスターであっても「下手です」「ダメです」と言われ続けます。それがなぜなのかが分からないと、ただ嫌な人と仕事しているとしか思えなくなるんです。

さだまさしさんが、「よく自分の曲は暗いって言われるけど、そうじゃない。物事に真剣に向き合うと、重たくなるんです。だから、僕のは暗い歌なんじゃなくて重い歌なんです」と言っていました。なんて洒落たことを言う人だなと思いました。こういう感覚を、子どもたちに伝えていきたいと思っているんです。

最近、親と子は合わせ鏡だと思うようになりました。子どもは親のようになるんですね。だから、どういう子になってほしいかっていうことは、親がどういうふうになりたいかだと思うんです。子どもにどういう人になってほしいかって考えたときに、もし答えが見つかったら、自分がそういう人になればいい。それは間接的かもしれないけれど、子育てそのものだと思います。

育児を「育自」と言った人がいますが、まさにその通りですね。子どもがいることで、自分も成長できるんです。

【インタビュー日:2009年2月26日】


プロフィール

ぱぱいや・すずき

1966年東京都生まれ。ラテン音楽グループ「トリオ・ロス・チカノス」の鈴木亮さんを父に持ち、幼少時から音楽とダンスに親しむ。高校時代からバンド活動を開始し、米軍キャンプ回りを経験。16歳から21歳までダンサーとして活動し、その後振付師、ダンス・インストラクターとなる。1998年「パパイヤ鈴木とおやじダンサーズ」を結成、大きな注目を集める。タレント、俳優、作詞・作曲、アレンジャー、マニピュレーター、プロデューサーなど、マルチに活躍している。近年ではダンサーの地位向上を応援する「DANCE向上委員会」の会長として、イベントや舞台の演出も手がけている。

戻る
このページのTopへ