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パパに聞く
第2回 木原実さん 気象キャスター・気象予報士 日本テレビ系のニュース・情報番組でおなじみのお天気キャスター、木原実さん。分かりやすい気象解説と軽妙洒脱な語り口には定評があり、ナレーターとしても活躍されています。舞台役者としての顔も持ち、多忙な日々を送る木原さんですが、家庭では中学1年生の娘さんと小学4年生の息子さんの良きパパ。特に息子さんとの密接なコミュニケーション術は必読です。
撮影/坂井 信彦

口うるさくても、いっしょに遊べる父親でありたい。

子どもがある程度大きくなったころ、地域のコミュニティのイベントによく出るようになったんですが、よその家族を見ていると、お父さんたちが妙に優しいなぁって思ったんです。とにかく怒らない、叱らない。それに比べて、僕は優しくないな、怖い父親なんだなと思いました。娘や息子が悪いことをするとすぐ、「ダメっ!」とか「何やってんだ!」ってすぐに叱りますし。

僕自身は父親に厳しくしつけられてきたというわけではありません。僕の父親は寡黙ですごく優しい人でしたから。ただ、父親からいろいろな遊びを教わりました。忙しいなかでなんとか子どもと接しようとばかり、手を替え品を替え、いろいろな遊びを持ってくるような父親でした。いま、自分も息子に対して同じことをやっています。

父親に教わったものでまず思い出すのは、将棋です。昔から将棋って、学校で教わるものじゃないのに男の子はみんなできました。たぶん、みんな父親とか、周りの身近な大人から教わっていたんじゃないですか。

僕は息子が小学校2年生のときに、同じように教えました。できるといってもヘボ将棋だから、駒の動かし方とか、どう詰めるかとか、子どもに教えるとなると結構難しい。いまはインターネットという便利なものがあるので、分かりやすい解説ページをプリントアウトして渡したりしているうち、息子はちゃんと覚えてきて、向こうから「やろう」と言ってきました。負けると悔しがるけれど、たまに飛車を取ったりすると「やったー!」とか興奮するようになって。

いまどきの子どもたちはテレビゲームとかパソコンじゃなきゃダメだ、じゃないんです。まず僕が楽しめるものに子どもを引っ張り込む。正面から子どもと向き合って教えたり、同じ目線で楽しむことができれば、将棋でも何でもOKなんですよ。

僕は子どもの頃、プラモデルが大好きだったんです。これも接着剤の付け方とかを父親に教わってたんですね。いまのプラモデルはパーツごとにパチンパチンとはめて組み立てるタイプのものばかりなんですけど、やっぱり面白いですね。僕が買ってきて、子どもの横でほとんど作っちゃう。「面白いー」とか言いながら(笑)。最初は興味なさそうにしていた息子も、そのうち「ちょっと僕にも作らせて」とか言う。でもすぐは触らせない。「ダメ!お父さんが作ってんだから!」と。これを何度か繰り返して初めて渡したら、夢中になって作り始めましたね。いつのまにか自分だけで作るようになっていました。

将棋もプラモデルも、いまでは息子に教わるようになってしまいました(笑)。自分が息子と同じ年くらいのときに夢中になっていたものを、いま親子で楽しめるというのは、いいものですね。

昔はガキ大将が教えたことも、父親が教えなくてはいけない。

家にいる時間は短いですけれど、僕はじっとしているのが苦手なんです。だから、休みの日は、子どもと遊んで食事に行って買い物行って・・もう分刻みですね。木原家の休日は分刻み。僕らが子どもの時からしたら、本当に時間が足りないですよ。なんでいまの子どもって忙しいんですかね(笑)。

外遊びは基本的にあんまりやらないんですけど、ドッジボール、キックベース、テニス・・チャンスがあれば近所の小学校の校庭開放の日をねらって息子と二人で行くこともあります。僕が子どものころは、何してもOKな空き地がたくさんありましたから、外で遊びやすかったんですけどね。キャッチボール一つやる場所が見つからないというのは、これも時代なんですかね。

去年ふらっと、虫取り網を持って出かけました。僕くらいの年代までだと、チョウチョでもカブトムシでもかろうじて手で掴めるんですが、いまの子は怖いようですね。カブトムシも掴んで取るんじゃなくて、網で引っかけて落として採るんだとか。僕たちは直に掴んで捕まえて、グルグル回して羽をバタバタさせたものです。息子にはチョウチョとカブトムシ、クワガタの持ち方だけは教えました。「カブトムシは角のところを持てば平気だよ」と。昔は、近所のガキ大将が教えてくれることですよ。でも、いまはそういう環境がないので、父親が教えなきゃ誰も教えてくれる人がいないですからね。

お父さんの本気を、子どもに伝えたい。

例えばトランプをいっしょにやると、僕は子どもに意地でも勝たせません。テレビゲームはさすがに勝てないですけど、トランプは僕のほうが大先輩ですから、簡単には勝たせませんよ。妻からは「たまには勝たせてあげればいいのに」なんて言われますけど(笑)。さすがに最近では、「神経衰弱」では子どもにかなわなくなりましたけどね。

僕は子どもたちにアナログの遊びも知っておいて欲しいと思って、昔遊んだ「魚雷船ゲーム」(※1)を買いました。あと「レーダー作戦ゲーム」(※2)も買いたいですね。どちらも他愛のないゲームなんですけど、すごくハラハラ、ドキドキしますよ。特に「レーダー作戦ゲーム」は相手に嘘をついちゃうと成立しないゲームなので、嘘をついたとたん、つまんなくなるんです。そんなことからも、「嘘をつくのはいけない」っていうことが、子どもの心のどこかにしみこんでいくと思いますよ。

いまどきの子どもたちは、テレビゲームから入っているけれど、すごろくとか「人生ゲーム」とか、アナログの面白さを伝えなきゃいけないって思います。

子どもとコミュニケーションをどう取ったらいいかって、最初は悩んだんですよ。例えば、ヒーローごっことかをやっても、なかなか盛り上がらない。やっぱり、「遊びにもルールがあって、それを守りながらやると面白い」っていうことを教えなきゃいけないと思って、将棋とかゲームを教えるようにしました。ルールを守れるようになると、駆け引きの面白さとかを知るようになる。最初は負けるのが悔しくて、すねたりしてましたが、最近は「うーん、負けたか」なんて言って、自分を客観的に見るようになってますよ。負けることにも意味があるということを知り始めているんだなぁ、と。

いまどきのお父さんはみんな優しいから、わざと負けてあげたり、感情を抑えたりする人が多いのかも知れません。僕の性格もあるんですけど、遊びでも何でも、本気で子どもと付き合いたいんです。遊んでやってる、というんじゃダメだと思うんです。僕自身が楽しまなきゃ。勉強とか教育という概念で動くんじゃなくて、父親自身が本気でワクワク、ドキドキしている姿を見せれば、それを見た子どもにも、大切なことが伝わるんじゃないかと思っています。

【インタビュー日:2007年7月18日】


プロフィール

きはら・みのる

1960年東京都生まれ。2歳で神奈川県藤沢市に転居。日本大学芸術学部演劇学科卒業後、レポーターや声優のかたわら、小劇場活動を続行。86年より日本テレビの天気コーナーを担当する。翌87年劇団『花組芝居』旗揚げ公演『ザ・隅田川』に参加し、同劇団員となる。95年に気象予報士資格を取得。現在は日本テレビ『NEWSリアルタイム』『ズームイン!!SUPER』等のお天気コーナーを担当するほか、ナレーターとしても活躍。2004年には防災士の資格も取得し、また俳優としても年1回は舞台に立っている。

※1
1967年エポック社から発売された対戦型テーブルゲーム。的となるプラスチック製の戦艦(3つ)を互いにセットし、相手の的を目がけて魚雷(パチンコ玉に似た金属球)を発射しあい、魚雷を撃ち尽くすまで戦って得点を競う。05年に7代目が発売され、現在でも購入できる。
※2
「Battleship」(海戦ゲーム)と呼ばれるテーブルゲームがベースとなっているアメリカ生まれの対戦型ゲーム。日本ではタカラから発売していた。まず、お互い相手からは見えないタテヨコ10マスのボードに大小5つの軍艦を任意で置く。運と勘を頼りに、交互にマス目を伝えあって、軍艦に命中すれば「当たり」、外れれば「はずれ」と申告し、先に相手のすべての軍艦を沈没させれば勝ち。
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